Others:夏蔦

『……。(メケ-メケしか売ってない限定味のナタデココ味のドーナツ…椿様、買ったら喜んでくれるだろうか)』
『…そうか…エンネアカイデカとテスカトリポカがまた椿様を……わかった。気が乗らないが、俺が行く事で収まるのなら行こう…』

※2、4枚目は三度笠無しVer

Profile

名前:夏蔦(Natsuduta)
情報:亜人(獣) / 男 / 外見年齢20代 / 189cm
性格:良くも悪くも素直、過保護(椿限定)
人称:俺 / お前(椿に対しては様付け)
趣味:各地を見て回る事
好き:和菓子、酒、景色を眺める事
嫌い:お世辞、鏡(素顔を見るのが嫌)、エンネアカイデカ、テスカトリポカ(鏡に関する者の為苦手)

Data

狐のお面を付けた9本の尾を持つ獣型(狐)亜人。
当時は人を殺める事を厭わない残虐非道の性格だったが、長い年月を過ごす内にかなり丸くなった。
面を付けているのもありクールに見えるが感情表現は豊かな方で、特に尾の動き具合で喜怒哀楽が解ってしまう事に悩んでいる。
イデアーレ内の聖地巡りを趣としており、椿の部下兼通達担当にも関わらず不在である事が多く、
代わりに子狐達を通して椿や他の眷属と三神達に連絡をする様にしている。
頭上に浮遊する外出用の三度笠から燃えている青白い炎は他人が触っても火傷はせず、また感覚も無い。

Battle Style:超力-属性術『火』

常に持ち歩いている『錫杖』を媒介にして超力を使う。
戦闘の際は手前に掲げ炎の輪の様な浮遊物を発動させ、其処から無数の炎の矢を対象めがけて射る。
炎の矢はコンクリートの壁に穴を空ける程の破壊力を持ち、当たるまで追尾する機能付き。
更に応用として、炎の矢自体を爆発させて視界を遮る事も可能。

また、子狐は所謂夏蔦の家来の様な存在で、夏蔦が何かしら合図をすると
即座に現れる。夏蔦と椿の言う事しか聞かないという頑固な性格の子が多い。
本来ならば契約詠唱術を唱えなければならないのだが、夏蔦は元神の眷属な為、詠唱せずとも召喚する事が可能。

詳細
当時、天災が起きる前の出来事。
九尾は己の顔を酷く嫌がり、そんな自分が大嫌いだった。
顔は火傷で焼け爛れており、鏡を見る事が嫌で何度も何度も視界に入れば壊し続けた。
徐々に九尾は怒りの矛先を自分から他人にぶつけ始めた。とある女性に素顔を見られてしまったのだ。
己の素顔を見た女性はポツリと言った。『気味が悪い…』と。
その言葉を聞いた九尾は激怒し、辺りを焼け野原にし、人を殺す狂人と変貌していった。

その数日後、九尾の背後から現れた神の事を『後ろから不意打ちされる』と勘違いをして
神相手に手を上げようとしたが拳で受け止められ、峰打ちで討たれる事となった。
…半日程眠っていた九尾は、目が覚めた途端、『何故殺さなかった』と恫喝したが、
神は『此処まで荒れていた者は初めて見た。故に興味心として俺の従者に出来ないかと思ってた』と返し、
九尾は驚きと同時に理解が出来ない表情で神の表情を見つめる。
神の瞳には九尾の顔は映っておらず、まるで深淵の様な、見ていると吸い込まれてしまいそうな錯覚に陥りそうになった。
敵意や殺気どころか、感情自体を読み取る事が不可能に近い。それ故に九尾は納得出来なかった。
『散々悪事を働いてきた九尾の俺が従者など…』と。

その数日後、天災が起きた日から四神の力は急激に衰えていき、徐々に眠りにつく者が多くなった。
神もその例外ではなく、眠りにつく前に九尾がどうすれば良いのかと尋ねると
『俺が眠りについている間、君が守ってくれると信じている』
その言葉をした後、彼は程なくして長い眠りについた。
神の眠りを見届けた後、『こんな弱々しい姿になるなんて…』と九尾は呟く様に絶句した。
神でも信仰心が無くなるといとも容易く力がほぼ使えなくなるのかと。
その日以来、九尾は彼に対して忠誠心を抱く様になり、彼が起きるまで待ち続けた。
数千年以上も彼は待ち続けた。途中で他の三神とその眷属には気にかけていたが、
九尾は主の眠りが覚ますまで片時も離れる事がなかった。

そして現在より少し前の話、主は目を覚ました。
九尾は歓喜した。およそ数千年以上の間、神の傍から片時も離れず傍にいたから。
力を蓄える期間が必要とあれど、それは長い孤独との戦いだったから。
『待たせてすまなかった。力はもう取り戻せないが…余生を楽しむには充分』
『な…何を仰っているのですか。こうして今、お目覚めになられたではありませんか』
『…確かに今こうして目覚めた。だが、信仰心はもう無い。俺達四神が消えるのも時間の問題だ』
九尾は理解出来なかった。折角目覚めたのにまたお別れをしなければならないのか。
長らく付き添ってきた年月は無駄だったとでもいうのか。
九尾は負の感情に囚われそうになり、拳を握り締める。神は九尾を一瞥し、視線を日差しの方に向ける。
『落ち着け。今はまだその時ではない。それまでの間、一人の人間として生きるんだ。
 …そうだな…待たせたお詫び、といえるのか解らないが、
 君にはイデアーレ内を出歩く”自由”をやろう。
 その目で”今”の外の世界を、その目で見てきたらどうだ』
俺は付喪神だからこの場からはあまり離れられん、と言葉を付け足し、神は九尾に提案をする。
一人にさせてしまうのは…と抵抗したが、神は意外と頑固で、
『お土産頼んだぞ』と、無理矢理なかたちではあるが外の世界を見て回ることとなった。

昔ととても変わり過ぎている光景に、九尾は驚きを隠せなかった。
かつての場所が消え、新しい場所が生まれている。
懐かしいものもあれば、目新しいものも存在している。
目に映るもの全てが九尾にとって知らないものばかりだからか、自然と好奇心を刺激され、
九尾は外の世界…イデアーレ内を自由に見て回ることがいつしか趣味となっていった。
昔も良かったが、今も悪くはないのかもしれない。
そんな事を思いながら、九尾は今日も歩き続ける。…身の回り担当の子狐から助けの連絡が来なければ良いのだが。